退職の意思表示は撤回できるのか?
こんにちは。なかま社労士事務所の中間です。
「辞めます」と会社に伝えたけれど、事情が変わって「やっぱり続けたい」と思うことは珍しくありません。
では、一度した退職の意思表示は撤回できるのでしょうか。
辞職の意思表示
「辞職」は単独行為であるため、その意思表示が使用者に到達すれば効力が発生するため、原則それ以降の撤回はできません。
合意解約の申込
合意解約の申込は、使用者の承諾の意思表示が労働者に到達すれば、それにより労働契約の解消の効果が発生することになる。
つまり、「辞職」とは異なり、使用者に到達していても、使用者が承諾するまでは原則として撤回が可能とされています。
大隈鐵工所事件
【経緯】
従業員Ⅹは、退職願に必要事項を記入し署名拇印後、A部長にその退職願を提出し、A部長はこれを受け取った。
翌日、退職の意思表示を撤回したが、Y会社が拒否したため裁判となる。
【解説】
本件では、A部長に退職承認の決定権限があって、A部長の即時承諾により合意解約が成立したと認定しうる可能性が高いと判断した。
会社の対応
「辞職」や「合意解約の申込」どちらであろうと、退職される方に何が不満だったか確認することで、
会社としては、職場環境の改善点を把握するチャンスになります。
また、もし従業員が一時的な感情で退職を申し出ていた場合、会社側が真摯に話を聞き、改善の意思を示すことで、
撤回を前向きに検討してもらえる可能性も出てきます。
一方、今の環境では力を発揮しにくい社員から「合意解約の申込」があった場合、
一定の人事権がある方の承諾がないと、撤回できる可能性がある点注意が必要です。
なかま社労士事務所では、労務のお困りごとの相談も承っております。
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