第2部:36協定の作成・締結・届出の実務手順と注意点
こんにちは、社会保険労務士のなかまです。
前回は「36(サブロク)協定」の基本的な仕組みや意義について解説いたしました。
今回は第2部として、36協定を実際に作成・締結し、労働基準監督署へ届出を行うまでの手順と、その際に注意すべき点について、わかりやすくご紹介いたします。
協定作成の流れ
36協定の作成は、以下の手順で進めるのが一般的です。
(1) 労働時間の現状把握
まず、自社における労働時間の実態を正確に把握します。月の時間外労働の平均、繁忙期の傾向などを分析し、適切な協定内容を検討します。
(2) 協定案の作成
労働基準法で定められた上限を前提に、以下の内容を含めた協定案を作成します。
- 時間外労働の上限時間
- 対象となる業務の範囲
- 休日労働の内容
- 特別条項の有無とその条件
- 協定の有効期間(最長1年)
(3) 労働者代表との協議・合意
協定を有効にするには、労働者の過半数代表者、または労働組合との合意が必要です。代表者の選出手続きが適正に行われていないと協定自体が無効となる場合があります。
協定書の署名・捺印
協議の結果を受け、最終的な協定書に使用者と労働者代表が署名します。特別条項を含む場合は、その理由や回数制限など詳細に記載することが重要です。
労働基準監督署への届出
署名・捺印済みの協定書を所轄の労働基準監督署に提出します。届出様式は、厚生労働省の公式サイトからダウンロード可能です。提出は紙でも電子申請(e-Gov)でも可能です。
電子申請の利点:
- 時間や場所に縛られず提出できる
- 複数事業場の一括届出が可能
届出後の保管義務と社内周知
届出後、協定書の控えを会社に5年間(経過措置3年間)保存する義務があります。また、従業員がいつでも内容を確認できるよう、社内への掲示やイントラネット上での公開が望ましいです。
実務上の注意点
- 協定期間の満了忘れに注意!
有効期限満了前に次回の締結準備を行わないと、時間外労働ができなくなるリスクがあります。 - 特別条項の乱用はNG!
常態化した特別条項の使用は、労働基準監督署の指導対象となります。 - 「代表者」の選任プロセス
過半数代表者の選出に不備があると、協定そのものが無効とされることがあります。選出方法や記録を明確に保管しておきましょう。
今は電子申請が出来る時代なので、e-govを使って届出した方が手間がかからなくて良いと思います。
「三六協定」もなかまにおまかせ下さい。